メルカトル鮎シリーズ『夏と冬の奏鳴曲』麻耶雄嵩 (講談社文庫) Amazonオーディブル聴き放題対象
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シリーズ 予想外のストーリー展開にハマる『メルカトル鮎』の第2弾。


『メルカトル鮎シリーズ』おすすめの読む順番
①『メルカトル悪人狩り』2021年・短編
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②『夏と冬の奏鳴曲』1993年・長編
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③『翼ある闇―メルカトル鮎最後の事件』1991年・デビュー作・長編
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④『メルカトルかく語りき』2014年・短編
『夏と冬の奏鳴曲』はハードルが高い!?
読み手を選ぶ『夏と冬の奏鳴曲』から読み始めると「あれ?麻耶雄嵩さんって合わないかも!?」と思うと他の作品を聴かないかもしれないので、まずはメルカトル鮎シリーズの中では一番まともなストーリー展開する『メルカトル悪人狩り』を楽しんで、麻耶雄嵩作品への耐性をつけて問題作の『夏と冬の奏鳴曲』に挑んで下さい。
デビュー作の『新装版 翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』はメルカトル鮎シリーズの第1弾ですが、他の作品で活躍している”木更津”たちの方が目立っているので後で聴いても時系列や話の繋がりなど問題ないです。
決まった時間を作れないけど本を読みたい人へ
「読書は、あなたの視野を広げ新しい世界を開いてくれます。
あなたが手に取った本は普段経験できない場所や出来事に触れる機会を提供してくれます。
さあ、本の世界に飛び込み感性を高めて、人生を変える読書を始めましょう。」



わかります。
私も本を熟読する時間を作れませんでした。その時に出会ったのが
- ○○をしながら本が聴ける”Amazonオーディブル”やオーディオブックです。
車の運転中や通勤・通学の時にオーディオブックを聴くと、学びを発見できたり感性や感情を豊かにしてくれます。
両手が自由に使えるので、掃除や片付けをしながら聴きたい本を聴き続けれます。時間効率が飛躍的にアップ!




『夏と冬の奏鳴曲』の注意点
二十年前に死んだ美少女を偲び、孤島「和音(かずね)島」に集う男女を襲う惨劇。
講談社BOOK倶楽部
今も彼女の影が支配する島で、雪が降りつもった夏の朝に、首なし死体が発見される。
雪密室を皮切りに島の均衡は崩れ、暴走が始まる。
ラストの大破局(カタストロフ)、メルカトル鮎(あゆ)のとどめの一言。
発表当時から話題騒然の超問題作が新装改訂版で登場!
①アガサ・クリスティー作『そして誰もいなくなった』をオマージュしているので1度も読んだことが無い人が『夏と冬の奏鳴曲』を読むと話の行き先が全くわからなくなるので、名作中の名作なので『そして誰もいなくなった』は聴いてください。


②主人公・如月烏有の名前が意味することろ
烏有に帰す※まったく何もなくなることで、とくに火災にあって丸焼けになること
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
ラストの展開で災害が起きて何もかも無くなっていきますが、名前が伏線になっています。
③さらに「キュビズム的還元」「超弦理論」「パピエ・コレ」など普段、見聞きしない概念や言葉がけっこう出てきます。数多くのアガサ・クリスティー作のオマージュしている作品の中で唯一の作品にしたかった麻耶雄嵩さんの斬新な試みです。
絵画の技法をつかったミステリー本は、見たことがないです。
④首無し死体、入れ替え、信頼できない語り手、降雪、足跡のない密室など、ミステリーのトリックがふんだんに使われています。かなり詰め込んだ作品なのでミステリーマニア向けの作品に仕上がっています。
『夏と冬の奏鳴曲』は、こんな方におすすめ!



- 麻耶雄嵩の問題作を読みたい方
- 最高の賛否両論小説を読みたい方
- ちょっと変わった本格ミステリーを聴きたい方
- ラストからの読後感が凄い本を探している人


『夏と冬の奏鳴曲』の登場人物



- 如月烏有
大学を中退して京都の小さな出版社で情報誌の取材や編集をしている。21歳。 - 舞奈桐璃
京都のオニワバンダナ女子高の三年生。烏有のアシスタントして取材に同行する。17歳。 - 間宮和音
水鏡三摩地や小柳などを魅了した女優。和音島で共同生活をしていたが1年後に解散 - 水鏡三摩地
大富豪。和音島の共同生活を送っていた時のスポンサー。今も和音島に住んでいる。 - 小柳寛・パトリク神父
20年前和音島を離れてからカトリックの神父になる。今は長野のイエズス協会にいる。 - 村沢孝久
小規模な貿易会社経営。今回の同窓会には妻も参加。42歳。



『夏と冬の奏鳴曲』のストーリー展開・ネタバレありなので注意してください
20年ぶりの和音島での「同窓会」
1人の女優に魅了された6人が共同生活を送っていた和音島。
その島に小さな地方雑誌の記者・如月烏有と舞奈桐璃は向かっていた。
20年ぶりに共同生活をしていた人たちが集まり、間宮和音の死を偲ぶ。
その同窓会のような7日間を記事にするため敏腕編集長に指名された如月烏有は和音島へ。
やがて島に着くと和音館に案内されていく。
和音館は歪んでいた。何故か如月烏有は歪んでいるように思えた。
奇跡の再開
食事会ために17歳の桐璃は着替えに部屋に入る。
集合の時間に遅れそうだ。
焦る烏有の前に、やっと桐璃が現れた。痩せているが美人の桐璃は黒のフォーマルスーツを着こなしていた。ちょっと見とれた烏有は気づく。
そして、遅刻した。時間に遅れたことを詫びながら食事会の部屋に入る。
驚くことがおきた。黒のフォーマルを着こなした桐璃の姿を見た人たちは息をのみ、時が止まった。
その姿は間宮和音の生き写し、20年前の間宮和音そのものだった。
8月10日の『春と秋のソナタ』の上映会



館の中をブラブラしていた如月烏有は1枚の絵の前で釘つげになった。
美少女の肖像画だった。
その娘は間宮和音で生き写しと思えるほど舞奈桐璃と額縁の中の間宮和音は、そっくりだった。
体が動かなくなっていた烏有に神父の小柳が声をかける。
「8月10日の間宮和音の命日に『春と秋のソナタ』の上映会がありますよ」
真夏に雪が降る。
赤い雪が降る。体にまとわりつく。
夢だと桐璃に起こされた烏有は気づく。
だが、そのうち雪が降ってきる。
そしてテラスに第一の殺人事件が起きる。首無し死体が佇んでいた。



ラストの大破局(カタストロフ)、メルカトル鮎(あゆ)のとどめの一言を楽しむために
『そして誰もいなくなった』のように次々に人が消えていく。
大災害が発生して崩壊し始める館から逃げる如月烏有は選択を迫られます。
ここで如月烏有は予想外の行動に出る。
なんとか島から脱出できた如月烏有と舞奈桐璃は京都に帰る。
メルカトル鮎が、とどめの一言を言って去っていく
この本は読み手が考察好きかどうかで、読後の評価が真二つに分かれます。
『そして誰もいなくなった』の手紙のようにメルカトル鮎が最後に出てきて謎を明かしていくことも無く、またハッキリとした言葉でいうのでもなく、重要人物が誰だったぐらいのヒントを与えて去っていき話が終わります。
楽しむために『夏と冬の奏鳴曲』を考えてみよう
この本は考えながら読む人にとっては楽しめる本ですが、感情移入したい人やストーリーを楽しみたい人には全くささらない本です。
ミステリー本が好きな人や、『そして誰もいなくなった』のオマージュしている本の中でも独創的な唯一の本を読みたい方、聴きたい方に向いている本です。



聴きながら考えていたことを挙げるよ
- トリカブトの花言葉は「復讐」。では誰が復讐したのか?
- 舞奈桐璃は何人いたのか?
- 春と秋のソナタの映画は意味は?何を表していたのか?
などなど『夏と冬の奏鳴曲』は聴き終わってから頭の中でストーリーが再び流れ始め、読み終わってからストーリーが始まる本です。


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